ウイルスにかかっているかどうか調べるには

ウイルス病とは

 ウイルス病以外のカビや最近の感染による病気や害虫は、農薬散布によって防除でき、また生理障害は栽培管理の改善によって防ぐことが出来ます。しかし、ウイルス病は薬剤によって治療することが出来ず、増殖株の中に1株でもウイルス株があるとそれが伝染源となってまたたく間に病気が広がってしまいます。植え戻しを行う株の管理には細心の注意を払いましょう。

植え戻しにおける主な問題点

1.病徴診断
ウイルス感染によって様々な病徴が現れます。その現れ方は、環境などにより、また葉や花など部位によっても変化しますが、ウイルスの種類と宿主との組み合わせによって一様ではなく、著しく変化するものです。ウイルス病とその他に原因する病気が類似の症状をしめすこともあり、それらを判別する必要があります。
参考図書:原色ランのウイルス病―診断・検定・防除― 井上成信著 農山漁村文化協会・・・ラン科植物のウイルス病の病徴写真や診断方法、検定方法についてまとめられており、ラン科植物のウイルス病の基礎を理解するのに最適な図書です。
2.生物検定
 検定したいランの葉片を摩砕して葉汁液を作成し、特定の検定植物へ汁液接種を行って、接種した葉に病班が現れるか否かを観察することでウイルス感染の有無を検定する方法です。
3.電子顕微鏡検査
ウイルスの粒子は非常に小さいため、葉や花の細胞内にウイルス粒子が存在するかどうか、またその形態を直接観察するには電子顕微鏡を用います。間接的に診断する方法として光学顕微鏡を用いる方法もあります。
4.血清反応法
 人間の病気の予防で用いられているワクチンの原理を応用して、植物ウイルスを検出し、また種類を同定することが出来ます。この技術は、ウイルス粒子のような抗原と抗血清内に含まれる抗体との反応を見る方法です。

 植え戻しを行う前に、確実にウイルス病に羅病していない株であることを診断する必要があります。病徴が現れている株を処分することはもちろん、病徴がない株においてもA〜Cの検定を組み合わせて行う必要があります。

*日本植物防疫協会では、有料で各種のウイルス検定を行っているほか、抗血清の販売を行っています。またオドントグロッサムリングスポットウイルス(ORSV)、シンビジウムモザイクウイルス(CyMV)については、簡単に診断できるキットが市販されています。