植え戻し活動の実施1

 ランの種類や、自生地の状況によって、植え戻し活動の内容は大きく違います。以下のガイドラインは、あくまでも目安・参考です。実際に活動を行う前に、必ず専門家に相談しましょう。

植え戻す個体

・必ず植え戻す場所に由来する個体であること
個体の選定を間違ったまま植え戻し活動を行うことは、逆に自然を破壊する行為となり、取り返しのつかない状況に陥ってしまいます。十分に注意して下さい。

こんな個体は絶対にダメ!

×別の自生地に由来する個体
×園芸店で購入した個体
×植え戻す場所に由来するが,履歴(採集日,採集場所等)がはっきりしない個体
→どうして植え戻す場所に由来しなくてはいけないの?
・必ず病気にかかっていない個体であること
病気にかかった個体を植え戻すと、自生地に残っている貴重な個体まで病気にかかってしまいます。十分に注意して下さい。ランは、栽培すると非常に病気に弱く、特にウイルス病は深刻です。
→ウイルスにかかっているかどうかを調べるには

植え戻すための個体を増やす

 単一個体のクローンではなく、なるべく多様性を維持した状態で増殖するのが理想です。必ず、植え戻す場所に由来する個体から増やしましょう。個体を増やす方法は、種子から、株分け等栄養繁殖で、無菌培養によるメリクロン増殖があります。

・種子から増やす
種子をつくる:交配に使用した個体、交配日等、できるだけ詳しく記録を残しましょう。
種子の発芽:完熟種子を使う。種子の発芽方法には、自生地に直接播く、無菌播種、共生菌とともに種子を培養する共生発芽があります。状況に応じた適切な方法を窓口までご相談下さい。
・栄養繁殖で増やす
株分けや、地下茎、ほふく枝、ムカゴ等を使った増殖、メリクロンによるクローン増殖があります。単一個体のクローンを、大量に植え戻すことは、多様性が消滅する可能性があり、大変危険です。やむを得ない場合にのみ、栄養繁殖で増殖して下さい。

苗を育てる

 病気にならないように育てましょう。多くの病害は、昆虫やナメクジ等が媒介するため、これらを防除することが重要です。具体的には、網で覆った状態で栽培する定期的な薬剤散布他の植物からの隔離などが必要です。