オーストラリア南西部の地生ラン(3)

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オーストラリア南西部の地生ラン(3)
1.Drakaea thinniphila次のd.glyptodon,4のP,と同じ場所で、日の良く当たる開けた白色の細かな砂からなる道路際に自生していた。いづれも高さは7,8cmであるが、葉が無く、茎が細いのでうっかりすると見過ごしてしまう。
2.Drakaea glyptodon前種の唇弁が細いのに比べ、本種の唇弁は幅が広く色も異なり、送粉昆虫は明らかに異なる。しかし両種ならびに4のP.nigritaは、完全に混生しているのも不思議である。残念ながらジバチを見ることは出来なかった。
3.Pterostylis turfaceaこの地域のPterostylisのほとんどの種は5−6月に開花する。9月末にはごく一部の種しか開花しない。本種は、唇弁が細かく裂け、外に突き出していることが特徴である。前2種と同じ場所だが、道路北側の日陰となる場所に自生していた。
4.Paracaleana nigritaDrakae属に近縁であるが、唇弁が上側に位置し、花弁とがく片が重なり合って船形をなすことが特徴である。やはり葉は無く、高さは10cm未満である。この種では、飛来したハチがとまると唇弁が下側に動くようである。
5.Cyanicula sericea前年の夏の山火事で樹木以外の下草がすっかり焼けてしまった明るい林床で見つけた。サンオーキッドの一種で、気温の高い晴天の日中しか開花しない。花は薄いブルー、直径4cm位と大きい。この地域には10種が知られるが本種にしか会えなかった。
6.Leptoceros menziesii同じ林内で見つけた。草丈は10cm前後。地元の研究者によると、小型のランを探すには山火事で下草や潅木が全部燃えてしまった林に行くのが、最も確率が高いそうである。本種は、目を皿のようにして這いずり廻らないと見落としてしまう。
7.Pyrorchis nigricansやや湿った砂地に生育する。葉は円形で直径数cm、地面にベッタリと張り付く。花序は高さ15-20cm、花茎も花も暗紫黒色できわめて地味。山火事になった林床では見つけにくい。
8.典型的な疎林山火事にあって何年も経っていない林。樹幹は火事に遭ったために焼けこげて黒く、林床の草や灌木はまだそれほど大きく育ってはいない。オーストラリア西南部では、山火事になっていない林は極めて稀である。
9.カンガルーポー(Angiozanthos sp.)変わった切り花として輸入されているが、野生株が簡単にみられるとは思っていなかった。種類もかなり多いようであるが、写真の種は、最も大型で高さ1m以上、、花茎は朱赤、花は濃緑色でコントラストがはっきりしている。葉はショウブの葉に似て、2列生する。
10、カンガルーポーの小型種草丈10p前後、密生するコロニーを形成している。花は蕾のままのようで正開しない。もっと小型の種から前種のように大型の種まで様々な中間種が見られた。ほとんどの花は黄色で、表面には細毛が密生する。
11、Elythranthes brunonis私の写真の腕では本来の色や光沢を出し切れないのが残念。内側はエナメルオーキッドの名の通り光沢のある桃紫色、裏側にはエナメル状光沢はなく、大きな紫色の斑点が疎らにある。多少湿り気のある開けた草地や山火事後の林床に見られた。
12.。 Elythranthes emarginata花弁、萼片は前種ほど厚くなく、光沢もやや少ない。どの弁もやや細めなので花形も異なる。前種があちこちで見られたのに対し、本種は一度しか見なかった。前種より花期が遅れるためであろう。
13. エナメルオーキッドの自生地ツアー初日、突然のストームが過ぎ去ったあと、最初に雨上がりのブッシュでエナメルオーキッドを発見、一同夢中になって写真撮影をしている。撮影中の男性は、デンマークDr.Rasmussen、タイのランを研究している。 見かけは老けているが、私と同じ54歳。
14.トカゲとWendy Strahm女史林野では時々変なものに出会う。このトカゲは尻尾が太く、ずんぐりむっくりしている。車で道路を走っている時にも見かけたが、動きも非常に遅い。撮影中のStrahm女史は、IUCN本部、種保護計画の植物担当者。しかし動物にしか興味がないようだ。
15. Diuris corymbosaドンキーオーキッド、いわゆるロバランと呼ばれる。恐らく直立する2枚の花弁が大きくロバの耳のようだからであろう。この地域だけでも20種以上が知られているが、同定は難しい。草丈20-30cm、日陰では50cmにも達する。
16.Caladenia excelsa英名Giant Spider Orchid、本属中でも大型の種。花弁・萼片は長さ30cmにもなる堂々たる花。先端が深く細かく切れ込んでいる赤紫色の唇弁と、基部が雪白色の花弁は特に印象に残る。このようなランがしっかりと保護されていることが素晴らしい。

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