エクアドルのラン(6)
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1.サンチェス博士の庭首都キト周辺ではヒルツ博士に、南部クエンカ周辺ではサンチェス博士に同行いただく。クエンカ市内の閑静な住宅地の一角にある博士の家の庭はランやティランジアで一杯であった。日本では栽培困難種が無造作に咲いていた。
2.Cochlioda vulcanica家はコンクリートの高い塀に囲まれている。治安が悪いので田舎の割には庭は狭く、せいぜい150u位。 200種以上のランが棚に所狭しと置かれていた。着生ランは庭木に着いていたが、元気そのもの。現地には敵わない。
3.Comparettia speciosa訪れた8月は乾期であった為か、自生地では開花しているランは比較的少なかった。何故博士の所では沢山咲いているのか聞いたところ、毎日灌水をしているからとのこと。気温の変化がないので、水さえやれば花は咲く。
4.Cyrtochilum giryferumシルトキルム属はオンシジウム属に近縁であるが、ほとんどの種では花序が異常なほど長く延びる。本種の花序はまめの蔓のように何かにまとわりつきながら2m以上伸長し、疎らに花をつける。
5.Cyrtochilum serratum本種の花序も長く延びるが、前種ほどではない。自生地では、1つの花序で直径5-6cmの花が100-200花つく。この属の花は、唇弁が上に位置するのが特徴でもある。どれが唇弁でどれが花弁か判りにくい。
6.Epidendrum medusaeNanodes medusae とも呼ばれる。肉質で辺縁が深く切れ込む唇弁が特徴。日本では暑すぎて夏を越すのが難しい。クエンカの標高は約2700m、日中は20℃前後になるが、夜は10℃前後。庭の木で咲いていた。
7.Epidendrum sp.大型のエピデンドルム、草丈は1.5m位。花も大きくて豪華なので、サンチェスさんのように野外で栽培できれば言うことはないのだが。エピデンドラム属は、種数が多く花も変化に富むが、分類が終わっておらず同定は難しい。
8.Telipogon sp.花は直径3cm前後と小ぶりではあるが弁質は厚く花持ちは良い。花色にも特徴がある。Dr.DodsonによるNative Ecuadorian Orchids (3)には48種のTelipogonの写真がある。これは特徴のある花であるが、そこには無かった。
9.Telipogon penningtonii ?典型的なテリポゴン属の花。花は大きく直径5cm以上、弁質が薄いので花持ちは悪い。低温で空中湿度が高い環境下に生育するので、日本国内での栽培はほとんど不可能。現地でも雲霧林の減少とともに、数も減っているようだ。
10.Masdevallia dimorphotricha.マスデバリア属には1花茎に1花だけのタイプと、この種のように穂状に多数の花がつくタイプとがある。このタイプの花は、いずれも似たり寄ったりのサイズと形をしている。しかし花色は変化に富む。
11.Masdevallia josei1花茎1花タイプの種。マスデバリアの花はどれも細い花茎の先端に咲くのでほんの僅かでも風が吹くと揺れるので、花が大きいだけに撮影は難しい。自生地は、正に「昼なお暗き」林内でかつ足場が悪いので失敗が多い。M. instarは非常に似ている。
12.Masdevallia staaliana.サンチェスさんの庭には、様々なランのコレクションがあるのだが、最も多いのがMasdevallia, Dracula, Odontoglossumであった。Masdevalliaは地元のラン愛好家にも人気がある。花の変化の妙に興味を惹かれるのは、洋の東西に関係ないのであろう。
13.Oncidium nubigerum var. azuay - ense変種名[Azuay]は、クエンカ市が属する州の名称であるので、この地域だけに分布している変種。バルブは2cm位しかないが、花は大きい。エクアドル シリーズ(1)で紹介したHoffmeisterellaと同じ樹幹に着生していた。
14.Oncidium nubigerumCuenca郊外を流れるYanuncay川の上流、標高3,000m前後の川沿いの樹幹に着生する。前種13番とは混生していると言うことだが、花がないと見分けはつかない。この個体は特に花が良いので、選抜されたものであろう。
15. Pleurothallis secunda草丈約30cmになる比較的大型種だが、花序は10cm前後で下垂する。上部でヘルメットは、側萼片が癒合したもの。披針形の下垂しているのが背萼片。ランの花としては花被片の位置関係が逆であるが、これが本来。ランでは開花までに子房が180度捻れる為。
16.Stellilabium sp.花の直径は1cm以下、順番に数花が咲く。葉はほとんどなく、クモランのようである。花をよく観察すれば判るが、Telipogonに近縁の属である。唇弁が肉質化し退化している。ずい柱の翼片も肉質化している。ずい柱と唇弁の形は、ハエに似ているかな?
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